はてなで書こうと思っていたことの導入部になる話題を探してみたが、こういうときに限って微妙に古くて残念。しかたないので今日は別件を書く事にする。
これについて。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=1314
ここに書いてある事は俺には全くのデタラメに見える。というか、これがおかしいと思う。
特に以下の内容。

2.インターネットただ乗り問題
 インターネットの利用において、現在は利用者があまり利用しないということが前提の定額料金制が基本になっており、実質どれだけ利用しても最低料金のままで、使ったもの勝ちの状態というのが本質的な問題。
 Winnyによって、利用者はブロードバンド回線さえあれば、無料で好きなだけ動画ファイルを入手することができてしまう。そのためにISPはバックボーンを圧迫されてビジネス的にも大問題。

この話はおかしいと思う。
この文章の書き手がもっとも間違っているのは、先日から話題になっていたフリーライドの話題は一般ユーザーに向けたものではなく、GyaOSkypeなど主としてコンテンツベンダーに向けられた批判だということだ。
特に前半部分の「現在は利用者があまり利用しないということが前提の定額料金制が基本になっており」というのが変だ。なぜなら、かつてユーザー数の少ない頃インターネットはどこのISPでも従量課金が標準的だったためである。固定料金制が増えたのは、「あまり利用しないから」ではなく、ネットユーザーの増加に伴って低料金で「常時使えるサービス」が求められ、そして接続業者がそれに応えたためである。
技術的に考えれば、せいぜいこの部分は「ユーザーによって回線を常時バースト状態にされることを想定していなかった」と書くことができるだろうけど、そう書いたとしてもそれはWinnyとフリーライドの問題をさほど近づけるものではない。なぜなら、最近問われているフリーライドの問題はユーザーとは関係ないからである。今問題になっているフリーライドは、コンテンツベンダーが文字通りただ乗りによって回線を占有しているというかどで批判の対象にされているはずなのである。ISPは料金設定だろうが回線速度だろうが、もちろん悪質ユーザーに対するペナルティであろうが自由自在に設定可能なのだから、好き勝手に回線を占有するサービスの提供業者の問題と一緒くたにしてフリーライド批判する必要はほとんどない。実際、ぷららなどではWinnyの使用規制は日常的に行われているし。流行っている話だからといって、安易に混同すべきではない。

3.ウィルス問題
 人気のあるプラットフォームにおいては、そのプラットフォームを利用する悪質なウィルスが登場するというのが、本質的な問題。
 Winnyが人気を集めたことで、Winnyはウィルス開発者のターゲットとなりやすくなり、しかも、ファイルが自動的にコピーされていくという性質とあいまって、ウィルスの効果が増幅されやすい。しかも話題になれば模倣犯も増えて、Winny利用者にとっては問題。

これもおかしい。何がおかしいって、「プラットフォーム」という技術用語の使い方がおかしい。Winnyはプラットフォームではないから。それをわかっていて書いたのだとすると、文章がヘタなのだろう。「〜のが、本質的な問題。」という結句が意味不明なあたりなど。

 ファイルをコピーするというソフトウェアであるWinnyにウィルスが流行してしまった

これもおかしい。あーもう、何もかもがおかしい!
何よりいやなのは、

まぁ、この記事は、エイプリルフール用に準備していたのが、思ったより面白くなかったので、マジメな感じにかき直してみたというのが正直なところではあるんですが。

などのエクスキューズがブログには満ちている事だ。冗談だったら、間違った事を何でも言っていいわけではない。冗談としての理屈が成り立っていない冗談は面白くもなんともない。
ぼくは、つまり、ここで、これについて考えていくよ。フリーライドとかこの人の文章が変なことなんて、ほんとはどうでもいいわけだ。